HERALBONY ART COLLECTION 2021

アーティスト15名による、20作品がHERALBONYの新定番柄として登場します。15名それぞれのアーティストの個性あふれる、異彩を放つ作品をお楽しみください。

Takashi Anzai

unico (福島県)在籍
普段の活動の中でドライブや、散歩、人と関わることを好むが、絵を描くことが特に好きな安斎。情報に敏感で、先々のスケジュールがとても気になる性分。常日頃から誰かと間近で関わる事が多かった彼は、このところの新しい生活様式により、ほかの人とのディスタンスを余儀なくされたことで、一人の世界を楽しむ新たな一面も見せている。

「かぶと」

幼気な色彩達が、パレットではなく画用紙の上で出逢った。戯れるような絵具の連なりは、駆けずり回って遊ぶ子供の足跡みたいに無邪気だ。行事好きの作者が「こどもの日」への期待感を胸に描いた、童心くすぐるやさしい一枚。


岡部 志士

Yukihito Okabe

希望の園(三重県)在籍
1994年生まれ。自閉症。クレヨンを塗って面を創り、色を消すようにニードルで削ってできたクレヨンのカスを集めて、粘土のようにして遊びながら作品を創る。最近ではボードやキャンバスに、クレヨンにポスターカラーを加え着色した面をニードルで削るといったように、制作方法にも幅がでてきている。実はその削りカスを集めてできたかたまり(本人はコロイチと呼んでいる)こそが本人にとって本当の作品であり、結果としてできた絵画はただの削り残したカスであり興味はない。

「Hoo!Hey!」

板の木目に敷き込まれたクレヨンの丁寧な質感が心地よい。削りカスを集めるためだけに、一瞬一瞬の閃きのみで選ばれた色彩が、何にも囚われなくて良いのだと優しく語る。この極彩色のパレードは、茹だるように暑い夏のように情熱的で、羽毛のように軽やかだ。


喜舎場 盛也

Moriya Kishaba

わかたけアート(沖縄県)在籍
彼の文字への執着は幼少の頃から続いている。自室で こっそり制作していた作品が2001展で紹介されると、たちまち 県外から、そして国外からも注目を集める。最後まで埋められ たものは2~3枚しかなく、大半は途中で止まっている。その後、家庭だけではなく、わかたけの創作活動の時間でも文字を描くようになり、それらの作品はなぜか縦方向に描き進んでいる。作品が評価されたことや世間の注目とは無縁に、ここ12年ほど前から漢字ではなく、もっぱら色とりどりのベル・星を、そしてこの8年間は小さなドットを描くことに熱中している。まるで染め物のよう に、裏面ににじみ出るまで執拗に塗り込み、そのこと自体を楽 しんでいるかのような制作風景である。そこには彼のこだわりと独特の手法がみられ感動を覚える。彼の作品は、国内外で繰り返し紹介され、日本美術全集(小学館、2016年)にも掲載された。

「四角」

フェルトペンのインクが裏側に染み出すまで塗り込まれた、ファブリックのような魅力がある作品である。レトロさを感じさせる色彩と、「四角」と言いつつも柔らかくもちもちとした質感、ボードゲームのような構図が特徴的だ。可愛らしさと懐かしさで、心の暖炉に火を灯し、角ばった気持ちを溶かしてくれる。


工藤 みどり

Midori Kudo

るんびにい美術館(岩手県)在籍
ある時はふわふわと、夢見るように周囲の誰かに笑顔で話しかけていたり。またある時は、一人自分の内側の世界に深く意識を沈めていたり。工藤のまなざしは、彼女の心だけに映る何かを追いかけてたゆたう。 心を満たす幸福なイメージが浮かぶのか。それとも痛みや悲しみを心に映さないようにするためなのか。それとも。工藤の制作は、瞑想から生み出されるような果てしなさがある。自分が今なにかを作り出しているという意識はあるのだろうかーー。彼女が描く時、縫う時、あるいはよくわからない「なにか」をしている時。ふとそんな疑問を感じさせる、不思議な空気が彼女の制作には漂っている。

「(無題)」(青)

色彩の雨。透明の嵐。呑み込んで、呑み込まれる。
海の細波を感じさせる筆遣いは、生き物のように大きくうねって、私たちを青の異世界へと連れ去ってしまう。


小林 覚

Satoru Kobayashi

るんびにい美術館(岩手県)在籍
よく見ると、いろいろな数字がつなげて描かれているのがわかる。小林は養護学校中等部の在学中に、日記も作文もすべての文字を独特の形にアレンジして書くようになった。 初め学校の先生も何とか直せないかと苦心したが、やがてこれを魅力的な造形表現ととらえることに切り替える。 これを転機に、彼の表現は多くの人に喜びを与えるアートとして羽ばたき始めた。彼の好きな音楽家はビリー・ジョエル、クイーン、井上陽水、スピッツ、THE BOOM。そして散歩が大好き。

「数字」

0の中に8がある。2の隣には6が並ぶ。
数字がひしめく都市のような絵画に、1,2,3……という当たり前の秩序は存在しない。
現代人を追い立てるいくつものカウントダウンをぐちゃぐちゃにかき回して、10個の数字達は愉快そうに街を跳ね回っている。

「夏の魔物」

白い紙に黒い線。言ってしまえばそれだけの絵が、どうしてこんなにも不思議な引力を持つのだろう。「夏の魔物」(スピッツ)の歌詞を象った複雑な線の一本一本が、その複雑さを変えることなく接続し合う。クモの巣にも、漫画の吹き出しにも、弧を描く虹のようにも見える。ここは夏の魔物の百鬼夜行。楽しい文字のワンダーランドだ。

「埴生の宿」

花はあるじ。鳥は友。
歌うような文字と文字の隙間から、牧歌的な色彩が顔を覗かせている。
生家での長閑な暮らしを讃える原曲同様、全ての人の安寧を願う柔らかさに包まれるようだ。


佐々木 早苗

Sanae Sasaki

るんびにい美術館(岩手県)在籍
絵画のみならず織り物、切り紙、刺繍など、いずれも緻密で色彩と構成の妙に富む様々な表現を生み出し続けている。彼女は一つの仕事に数か月から数年集中して取り組んだあと、不意にやめて別の仕事に移るのが常。2019年現在の彼女が打ち込んでいるのは、丸く切り抜いた紙をいくつもの色で同心円状に彩色し、塗り終わった紙を壁に並べて貼っていくこと。

「(無題)」(丸)

黒いまるがいくつも積み重なり身を寄せ合っている。時には離れたりくっついたり。まる達は互いに緩やかに干渉しあう。
シンプルでも単調に見えないのは、線の疎密や和紙のあたたかい質感、ところどころに覗く曖昧な色彩が、幾何学模様のモチーフに対して有機的に映るからだ。まる達のそうした揺らぎは、私たちの身体の中で、やがて安らぎに変わっていく。

「(無題)」(角)

虹色に輝く四角の隊列が、黒い闇に浮かんでいる。モダンの中にも温かな色彩と質感が宿っている。
クラブチューンのような小気味良いリズムは、洗練された都会の夜景の如き輝きを放つ。


SATO

Sato

Boston Special Needs(ボストン)在籍
1999年、米国ボストン生まれ。本名・本山慧(もとやまさとる)。軽度難聴をもつ低出生体重児として、小さく生まれ、ゆっくり育つ。のちに、知的障害を伴う自閉症スペクトラムと診断される。10歳のサマーキャンプで水彩画と出会う。以来、毎日1枚の絵を描き、その作風はゆるやかに変化しつづけている。地元のファミリーサポートグループ「ボストンスペシャルニーズ(BSN)」メンバーとして、数々のアートフェアに出品。

「Festival」

水彩絵具の赤と青、滲みと擦れが絶妙に混ざり合う。透明色の重なりが、弾けるほどの清涼感を香り立たせる。どこをどのように見ても楽しい、夏祭りのラムネのような爽やかさが、疲れた時にもエネルギーをくれる。


Fumie Shimaoka

Fumie Shimaoka

幼い頃から、机に向い集中して手指を動かす作業が好きで、モンテッソーリ教室に楽しく通っていた。折り紙が得意なところを見込まれて、ホテルでナプキン等のリネンを畳む仕事に就き、余暇として習字やリリアン、編み物をしながら過ごしていた。そんな中、ある日突然急性水腫を発症し、一時は失明も危惧されたが奇跡的に回復し、コンタクト治療によって視力を矯正できた後から、自ら手持ちの水性ペンで大胆に細やかな線画を描き始めた。彼女の作品の特徴は、独特の色彩感覚でコツコツとちいさなマルやセルを繋げ、好きなモノや想いを描く。当初は、モノクロの作品を描いていたが、次第にたくさんの色を持ち、形を変え、欠片は増殖していき徐々に現在の作風が確立されていった。高校卒業時の色紙に彼女が記した座右の銘は、「人生予期しないことが起こるからおもしろい」。現在は、作業所に通いながら、家族と夕食を囲んだ後のテーブルで、のんびりと創作活動を楽しむ毎日を過ごす。

「宇宙」

植物の細胞にも見える小さな図形の集積に魅入っていると、視界の外側で世界が広がっていく感覚に襲われる。余白を残した程よいサイズ感は、互いの距離を守って廻る星々の引力の強さを感じさせ、渋い色彩を伴って、私たちに適度な緊張感と落ち着きを与えてくれる。


土屋 康一

Koichi Tsuchiya

unico(福島県)在籍
土屋の代表的な作品は、「はっぱ」と題される串に団子が刺さったような形状の作品群と、「はな」と題される画面全体を複数色で塗り分ける作品群に大別される。その他にも「おすし」などの具体物や人物、バス運行に関する記録メモを取ることもある。「はっぱ」「はな」双方とも鮮やかな色彩が共通 しており、植物の優しいイメージと相まって、愛好者も多い。近年では新築家屋のふすまや、美容室や児童施設の壁面も作画し、好評を得ている。

「葉っぱ」

黒い地に白い茎がのびやかに走る。色彩豊かな葉っぱが、その上に独特なリズムを刻む。控えめな彩度やクレヨンの掠れた質感が生み出す、モダンでお洒落な雰囲気が、自然=緑という先入観を軽やかに覆していく。ありのままでいいんだよと、背中を押してくれる。
一度大きく深呼吸と伸びをして。さあ、「自然体」でいこう。


肥後 深雪

Miyuki Higo

アトリエやっほぅ!!(京都府)在籍
アトリエやっほぅ!!ではみんなのお姉さん的存在で、その時の気分で色鉛筆、水彩絵具、刺繍糸などを使い分けて自由な作品制作をしている。作品に登場する生き物や植物は可愛らしいものから作者本人にもわからない不思議なものまで様々。どの作品も優しさがにじみ出るカラフルな世界が広がっている。

「しかくとまるとさんかく」

紙の矩形に左右されることなく配置された図形と色彩は、気まぐれなのにどこか大人っぽい。試し書きのように自由で親しげな感覚は、心に余裕を持たせてくれる。滲みを追いかけて夢中で手を動かしていた、作者の遊び心が伝わってくるようだ。

「まる」

絵具のスタンプを押しながら、色彩の重なりに作者自身が没入して描いた作品。描き終わるとそこには、凪いだ湖の湖面のような、果てしなく優しい空間が出現していた。夢のように漠然としていて終わりのない青や緑に、身を委ねてしまいたくなる。


三谷 由芙

Yuh Mitani

JOY俱楽部 アート部門 アトリエブラヴォ(福岡県)在籍
1988年福岡市生まれ。日記の隅に描いていたキャラクターの絵が養護学校の先生の目にとまり、スペシャルオリンピックス日本・福岡のカレンダーにイラスト採用、絵画の仕事を志し翌年アトリエブラヴォに。色鉛筆画や淡い色の水彩画、鮮やかで太い線のアクリル画も描く、独特の形の捉え方が楽しいアーティスト。2015年(社福)夜須高原福祉村やすらぎ荘浴室に壁画制作、2016~7年4回に渡りリョーユーパンのパッケージに作品採用など、多くの人の目を楽しませている。

「リンゴのブーケ」

クリスマスに合わせ、百色もの色鉛筆と絵の具を駆使して描かれたこの作品は、待ち望んだプレ ゼントそのものみたいに、瑞々しい色彩がギュッよ詰まっている。 生命力弾ける赤色は、作者本人のように強靭な美しさを放つ麗人を想起させる。彼女からのブーケトスは、己だけの美しさを探求する情熱をくれるだろう。


高橋 南

Minami Takahashi

るんびにい美術館(岩手県)在籍
クーピーペンシルやクレヨンを塗り重ねることで作り上げられた作品は、一見すると、素早い鉛筆の動きを要する激しい制作態度を連想させる。しかし実は、彼女の制作は非常にゆっくりと穏やかである。彼女の描き出すひとつひとつの色は、お互いに交じり合うことなく、それぞれにその美しさを主張しながら画面の上に現れ、激しさと静けさが不思議に同居しており、心を惹きつけられずにはいられない。

「風のロンド」

輪舞曲(ロンド)の名の通り、繊細な線が舞うように絵を描く。疾走感のある筆致でありながら、誰も置き去りにしない柔和な質感が、優しく心を撫でてゆく。暖かい色の中に暗い色が重なり、激しさち静けさが共存する世界で、吹き抜ける風と一体になって踊ろう。


宮澤 祥子

Sachiko Miyazawa

のぞみの家(東京都)在籍
「指絵の具」を両手にたくさんつけてキャンパスを抱えるように描く。突然の音や賑やかな雰囲気を好む宮澤。躍動感がありながらも優しさのあるタッチの中には、入り交じる感情が多くの色彩で表現されている。時間をかけて幾重にも色を重ねて描くことで、絶妙な色の混ざりが生まれる。

「桜のじゅうたん」

ブルーシートを引いてお花見している人たちを、桜の木の上から眺めているような、雑然として楽しい色遣い。作者自身の指で自由に描かれた、唯一無二の激しい筆致は、春一番のように私たちの心に嵐を巻き起こして、明るい気持ちへと誘う。


八重樫 季良

Kiyoshi Yaegashi

るんびにい美術館(岩手県)在籍
一見抽象的な幾何学パターンを描いたように見える絵だが、それが独自のアレンジによって描かれた建築物だと知ったら多くの人が驚くだろう。 この表現様式を八重樫は子どもの頃、誰に習うことなく独創によって生み出し、以来半世紀余りにわたってこのただ一つのスタイルで創作し続けて来た。その作品数はおそらく数千点に及ぶと思われる。

「(無題)」(家)

ステンドガラスのように透明な色彩。設計図のような平面図形と黒い直線は共鳴し合って、一つの旋律を奏でている。作家が「便所!」と笑って指し示した白い円でさえ、星座を作る星のようだ。天窓から夜空に向かって風が吹き抜けていくような、透き通るような気持ちが築かれていく。


八重樫 道代

Michiyo Yaegashi

るんびにい美術館(岩手県)在籍
ブラシマーカーを用い、躍動に満ちた膨大な形と色彩がひしめく緻密な画面を生み出す。 小さな頃から塗り絵が好きだったが、初めて「自分の絵」を描き始めたのは19歳の時。 以来、堰を切ったように鮮烈な色彩と精緻な構成からなる作品を次々に生み出していった。「ワープロ」「おりがみ」というタイトルは、アーティスト自身がつけたものである。

「おりがみ」

子供の頃、折りすぎてボロボロになった紙を学校の机に放置して帰った。置き去ってしまった小さな紙切れの中にも、きっと世界が存在していた。
幾多の線と面が織りなす複雑さは、一望で分かった気になんてなれない、多面体の世界そのもののようだ。
勝手に折り合いなんてつけて簡単に忘れていってくれるな。そんな痛切な祈りを思わず読み取ってしまうほど、強い圧を持って私たちに迫ってくる。

「ワープロ」

縦糸と横糸を織り重ねるように、色と線とが編まれてゆく。
蓄積されたものが決して古くはならず、絶えず編集・更新されていく、人間の営み、その歴史を描いたようにさえ思える壮大な作品だ。