クリエイティブで、心と社会を動かす。ヘラルボニーの「鳥肌が立つ、確定申告がある。」

「確定申告の連絡を受けた時、思わず鳥肌が立った。これは、ただの確定申告じゃない。世界の前進を教えてくれる、確定申告だから。」

2025年6月、”世界最高峰のクリエイティブの祭典”とも言われる「カンヌライオンズ2025」で、不平等や偏見と戦うクリエイティブを讃えるグラス部門(Glass: The Lion for Change)のゴールド(金賞)に輝いたヘラルボニー。

今回の受賞だけでなく、創業時から一貫して、クリエイティブを通して”障害に対する価値観の変容を促す”ソーシャルアクションを行ってきました。

本日はその一つである「鳥肌が立つ、確定申告がある。」をご紹介します。

「鳥肌が立つ、確定申告がある。」

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鳥肌が立つ、確定申告がある。

 「息子が扶養の基準を超えて、確定申告することになりました」


重度の知的障害がある方のご両親からの連絡だった。

日本には、雇用契約に基づく就労が難しい知的障害や身体障害のある人に対して、

事業所で職業訓練に就くことを支援する制度がある。

そこで支払われる平均賃金(工賃)は、月額15,776円*。


ヘラルボニーは、主に知的障害のある作家とライセンス契約を結び、

彼らのアート作品をファッションやインテリアに落とし込み、販売している。


強い個性があるからこそ、描ける世界がある。

障害があるからこそ、歩める人生がある。

そう信じて走り続けてきた。


確定申告の連絡を受けた時、思わず鳥肌が立った。

これは、ただの確定申告じゃない。

世界の前進を教えてくれる、確定申告だから。


きっと、世界はもっと鮮やかに塗り変えられる。

作家の異彩と、わたしたちのアイデアで、

障害のある人の可能性を、生き方を、未来を、描いていくんだ。

1.31 異彩の日 by ヘラルボニー

*就労継続支援B型の場合
出典元:厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況(令和2年度)

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確定申告シーズン直前の1月31日に、国税庁の最寄り駅である霞ヶ関駅などの計4ヶ所にて公開されたこのポスターは、日本最大級のクリエイティブアワード「2023 63rd ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」にてPR部門の総務大臣賞/ACCグランプリを受賞。

大きな反響をいただいたこの取り組みは、契約作家のご家族から実際に届いたお声から誕生しました。

障害のある作家が「扶養者」になるかもしれない未来

へラルボニーの契約作家は主に知的障害のある方で、多くの方が雇用契約に基づく就労が困難な方を支える就労系福祉サービス「就労継続支援B型」の対象者です。

「就労継続支援B型」は自分のペースに合わせて就労訓練を行うことができるメリットがある一方、あくまでも就労ではないことから、支払いは「賃金」ではなく「工賃」として平均して月額15,776円*、時給にすると222円というのが現状です。

多くの作家さんのご家族が、口を揃えてこうおっしゃいます。
「私らが死んだ後、うちの息子/娘はどうやって生きていくんだろう。私は死ねない」と。

そのなかで、親の扶養の基準を超えて「確定申告」をする作家が生まれたという事実は、異彩が当たり前に活躍する世の中に向けた大きな一歩でした。

「いつか私たちが息子に扶養される日が来るかもしれませんね」
確定申告第一号となった作家のご両親の希望に満ちた笑顔が、今日も私たちHERALBONYの原動力になっています。

*就労継続支援B型の場合
出典元:厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況(令和2年度)

3年間で作家報酬は15.6倍に
これからもヘラルボニーはアクションを続けます

そして、2023年の「鳥肌が立つ、確定申告がある。」から2年が経ちました。
今年もまた、へラルボニーの契約作家で確定申告をする方がいらっしゃいます。

プロダクトや原画の売上、企業・自治体コラボのライセンスフィーなど、作家に支払う報酬額は、2021年から2024年までの3年間で15.6倍までに成長しました。

作家がありのままに放つ「異彩」が報酬につながり、作家自身の自立、好きなものを手にするなどの自己実現につながっています。

「鳥肌が立つ、確定申告がある。」起用作家とプロダクト

小林 覚(Satoru Kobayashi)

すべての数字や文字をつなげて描く作家・小林 覚。養護学校中等部の在学中の日記や作文からはじまった独特な文字は、 初め学校の先生も何とか直せないかと苦心したそう。しかし、その後これを魅力的な造形表現ととらえるように切り替えたことで、今では唯一無二のアート作品としてはばたき、多くの人々の心を惹きつけています。

カンヌライオンズでもヘラルボニーを代表する作家として、ともに舞台に立ち、その場で文字を描くライブペイントを披露しました。

ビリー・ジョエル、クイーン、井上陽水、スピッツ、THE BOOMなどを愛し、いつもヘッドホンで音楽を聞きながら制作する覚さん。大好きなスピッツの楽曲の歌詞が刻まれたアートもプロダクト化されています。

起用プロダクト


スマホケース「夏の魔物」

IDケース「数字」

>Satoru Kobayashi|作家プロフィール・起用プロダクト一覧
>制作ムービーはこちら
衣笠 泰介(Taisuke Kinugasa)
家族と世界各地を旅するなかで目にした景色を、光と色彩に溢れた独自の世界観で描き出す衣笠 泰介。

マジカルとも評される色彩感覚と感受性を持ち、何百色もの絵の具から瞬時に色を選んで描き上げる作品は、国内外で高い評価を得ています。

ちなみに、作品でよく見られる「ニコニコマーク」は作品を描き終える際に描かれる、サインのようなもの。このマークを描きながら「こんにちは!」と言う泰介さんは、これからこの作品に出会う人たちに向けての挨拶をしているのかもしれません。

起用プロダクト


ハンカチーフ「気持ち」

シルクサテンスカーフ「ブダペストで朝食を」(Paris Edition)

>Taisuke Kinugasa|作家プロフィール・起用プロダクト一覧
>制作ムービーはこちら
田﨑 飛鳥(Asuka Tazaki)大阪・関西万博で全長約13メートルの巨大壁面アートとして作品が展示されている田﨑飛鳥さん。

陸前高田市に住む飛鳥さんは、東日本大震災で自宅と200点以上の作品を津波によって流され、そのショックから一度筆を置いてしまいました。しかし、「言葉に出来ない思い、今だからこそ描かなければいけない絵があるのではないか」というお父様の言葉によって再び創作に向かい続けています。

鮮やかな色彩や動物たちの表情に、生命へのあたたかな眼差しを感じる作品は、今も多くの人々の希望を与えています。

原画作品


「アオサギ」原画作品

「リリーの思い出」原画作品

>Asuka Tazaki|作家プロフィール・原画作品

なお、飛鳥さんとは2024年能登半島地震の際のソーシャルアクション「#障害者を消さない」でも活動をご一緒しました。

飛鳥さんもご経験された東日本大震災では、多くの障害のある人々が避難所から追放され、半壊した自宅への帰還、親戚の家に身を寄せる状況に陥りました。避難所から障害者を消したくない。災害時に障害のある人が被災地・避難所で必要とする情報を、当事者だけでなく、多くの人に知っていただくために発信しています。

>特設サイト|「#障害者を消さない」


私たちがヘラルボニーというブランドを通して最終的に目指すのは、「障害に対する価値観の変容」を促し、障害の有無に関わらず、全ての人がありのままに自分らしく「異彩」を放てる社会です。

そして、作家が描くアートを暮らしの中に取り入れることも、ひとつの大きなアクションです。

異彩のアートをまとったプロダクトを、ぜひ自分らしく、自身の「異彩」を放つように楽しんでお手にとっていただけたら嬉しいです。

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