HERALBONY初の“スカーフリング”が誕生しました

結婚指輪を専門に、“人と人を結ぶジュエリー”をつくる〈atelier ST, CAT〉。

“異彩をまとう”HERALBONYと出会い、アートとクラフトのあいだに、新しい物語がはじまります。

スカーフリングに込めた想いを、〈atelier ST, CAT〉のふたりに伺いました。

それぞれの視点から語る、“結ぶ”という行為のかたち。

atelier ST, CAT オーナー 林聖子さん Interview

“心に響くものをつくる” その想いが、HERALBONYと重なった

オーナーの林聖子さんが〈ST, CAT〉を立ち上げたのは、編集者として働いていた頃。趣味で始めたジュエリーづくりから、2017年にブランドを設立。2023年には、手仕事の強みを活かした“結婚指輪専門ブランド”へと転換しました。

「トレンドとして消費されるのではなく、
自分たちで“選びたいから選ぶ”というポジティブな買い方を提案したかったんです。」

結婚やライフイベントにまつわる“こうでなければならない”という価値観を、少しだけ解きほぐすように。ST, CATは、完璧ではない自然体の線やかたちに、人のぬくもりを宿します。

「人の手で描く線のように、少しいびつな形だからこそ、指にも心にも馴染む。
計算されていない偶発的な美しさを大切にしています。」

アートを“良いもの”として信じる姿勢に共鳴した

HERALBONYとの出会いで、林さんが惹かれたのはブランドの根っこにある思想でした。

「福祉という文脈ではなく、アートそのものが“良いもの”として届けられている。その考え方に強い共感を覚えました。」

「アーティストの方々の作品に誇りを持ち、まっすぐな眼差しで発信している。それって本当に力強くて、美しいことだと思うんです。」

スカーフを結ぶ、小さな自由

HERALBONYを象徴するスカーフに、“結ぶ”という行為を添える。その想いから生まれたのが、このアートスカーフリングです。

「スカーフは装いに高揚感をもたらしてくれるもの。そこにリングがあることで、もっと気軽にまといやすくなる。小さいけれど、想いがぎゅっと詰まったジュエリーです。」

「アートを日常に取り入れる手段として、
スカーフやジュエリーのような小物は一番身近な存在。文化的な奥行きを添えながら、
それぞれの人のアイデンティティを輝かせてくれると思います。」

自然な循環を生むものづくりを

「ブランドや会社の中で“本当に欲しい”と思えるものをつくる。それが正当な価値で世に出て、誰かが純粋に“素敵だな”と思って手に取る。そうやって自然に循環していく世界が理想です。」

今回のリングには、HERALBONYとST, CAT、両者の想いが静かに宿っています。

「とても小さなものですが、ヘラルボニーのみなさんの想いも、私たちの想いも、
たくさん詰まっています。かたちになったことが本当に嬉しいです。」

「“アートと日常を結ぶ”というテーマの中で、このスカーフリングが、そっとその役割を担ってくれたらいいなと思っています。」

デザイナー兼クリエイティブディレクター 狩野明歩さん Interview

手のぬくもりを宿す、“結ぶ”というデザイン

「スカーフリングって、意外とデリケートなんです。布を傷めないように、できるだけ軽く、やさしい構造にこだわりました。」

初めて挑戦したスカーフリングの制作。
シルバー925を使用し、金属アレルギーの出にくい仕上げに。指輪としても使える2WAY構造で、ジュエリーに馴染みのない人にも手に取りやすいよう設計されました。

「内側は、指輪のような強面仕上げではなく、あえてやわらかいマット加工に。滑りすぎないようにすることで、スカーフをやさしく留められるんです。」

アーティストの“手書き感”を、金属の上で再現したかった

「今はCADなど機械で作るものが多いですが、私たちはずっと手作業。HERALBONYのアートもそのほとんどがすべて“手で描かれたもの”だからこそ、スカーフリングでもその温度を再現したいと思いました。」

作家・工藤みどりさんの作品「無題(青)」からインスピレーションを得て、金属の表面に“手書きの線”を刻むように模様を打ち込んでいく。工具の先端を加工し、手描きのムラやリズムを再現するための独自技法を生み出しました。

「ヘラルボニーの書籍 “異彩を放て” を通じて出会った工藤さんの作品に心を打たれて。迷わず、この作品をインスピレーションの源にしたいと思いました。」

寄り添うこと、そして楽しむこと

ブランドとして大切にしている哲学を尋ねると、狩野さんは少し考えてから、やわらかく答えます。

「お客様にも、スタッフにも寄り添うこと。まずは自分たちが楽しむこと。私たちが楽しんでいないと、喜んでもらえるものは生まれないんです。」

デザインのベースにあるのは"感覚"。手に馴染み、つけ心地がよく、日常に自然に溶け込むもの。そこから、ひとりひとりの“好き”が重なっていく。

HERALBONYのアートから、力強さと自由を感じた

「初めてヘラルボニーの契約作家の作品を見たとき、ただただワクワクしました。みんなが無我夢中で描いている、その自由さと力強さに圧倒されて。林と一緒に、岩手県・花巻市のるんびにい美術館を訪ねた時も、その熱量を肌で感じました。」

HERALBONYチームと進める中でも、その熱は同じだったといいます。

「チームのみんなが“このアートを広げよう”と前を向いていて、好きの方向が全員一緒なんです。その一体感にすごく感動しました。」

「結ぶ」という行為が生んだチームの輪

「今回の制作では5人のメンバーが関わりました。これまで量産は1人で担っていたけれど、
みんなで作ることで、チームが“結ばれていく”感覚がありました。」

「このリングを通して、普段出会えない人とも繋がれる。手に取ってくださる方と、アートと、作り手が、ひとつの円で結ばれていく——そんなコラボになれば嬉しいです。」

Profile

atelier ST, CAT
HP :https://st-cat.com/

ビーエイチ・ロング株式会社は、ブライダルジュエリーブランド「atelier ST, CAT」を運営しています。代々木上原CABO UEHARAにフラッグシップショップを構え、ショップには自社製造アトリエを併設。結婚指輪らしさにとらわれない、「自分たちらしい」オーダー結婚・婚約指輪を作っています。予約制にて、カウンセリングを受付中です。

atelier ST,CAT CEO 林 聖子 / Seiko Hayashi
Instagram:@payacat

1986年生まれ。東京都出身、起業家、3児の母。ファッションエディターを経て、2017年よりジュエリーブランド「アトリエ エスティーキャット(atelier ST,CAT)」代表取締役。「自分らしく、自由な」ファッション性の高いオーダー結婚・婚約指輪を扱う。代々木上原にMILESTONEが内装を手掛けたアトリエショップを構える。東京都女性起業家プロジェクトApt Women8期生選出。趣味は読書とピラティス。

atelier ST,CAT Designer&Creative directer 狩野 明歩 / Akiho Kano
Instagram:@akihokano_

1998年生まれ。神奈川県出身。高校卒業後にジュエリースクールへ進学し、クラフト・デザイン・CAD・研磨など幅広く学ぶ。2017年、atelier ST,CAT設立と同時に入社。ファッションジュエリーの制作を行い、2021年よりデザイナー兼クリエイティブディレクターに。2022年個人ブランド 『AKIHO MORI』 を立ち上げる。更に2025年7月には、クレープ屋 『tetote』 をスタートし、"すき"を形にする活動を続けている。